英国産しょぼんのしょんぼり日記

英国生まれのブログ主・しょぼんが英国留学で博士号取得を目指すブログ

授業を受ける

こちらはもうすぐ学期末ということで、先日履修した授業の課題提出がありました。今回は授業についてお伝えしたいと思います。

 

工学専攻の博士課程の学生は原則1年目に2つの授業を履修することが義務付けられています。履修できる授業は学部の一部と修士対象の授業に加え、研究科目に限られています。わたしは開発に興味があるので、指導教官と相談の上国際開発に関連する授業を履修しました。工学専攻にはMPhil in Engineering for Sustainable Developmentというコースがあり、主にこのコースに所属する学生が受ける授業だったようです。このコースのWEBサイトを見ましたが、自分の修士のコースと似ていると思いました。

 

さて、イギリス(海外)の大学の授業というと日本の大学の授業とは違うというのが定説ですよね。毎週課題があってエッセイの嵐、リーディングリストが配られディスカッションやチュートリアルのため毎日大量のリーディングをこなす…。わたしも初めはそう思って戦々恐々としていました。

 

しかし! それは「コースと授業による」というのが正解のようです。

 

ケンブリッジの授業は1日1回1時間で週に2日組まれているのが基本です。そして1タームに8週間、全16時間の授業を受けることになります。日本の大学は1日1回1時間を15週で15時間が基本でしょうか。総時間数でみるとあまり変わりませんね。ケンブリッジの授業のシラバスをみると、授業時間以外に40時間のワークが求められており、必ず試験や課題が設定されています。わたしが履修した授業は1日2回連続2時間で週に2日の4週間で終わり、残りの4週間で課題に取り組み提出するという変則的なスケジュールでした。

 

授業は普通の教室で行われ、先生がPPTを使ってトピックスを紹介し国際開発のコンセプトを解説します。おすすめの図書は何冊か紹介されましたが、読んだ上でディスカッションするなんてことはなく、一般的な「講義型」でした。ただ日本の大学の授業と決定的に違うのは、先生が話している最中でも学生が積極的に発言することです。質問でも意見でもバンバン手を挙げて喋ります。そこから議論になって別の学生も発言し…と発展していき、こういうのをactiveというのだろうなと感じました。

 

わたしは講義中は要点や後で見直すべき点をノートに取っていたのですが、同じくノートを取っている学生もいればノートPCでメモを取る学生、全く関係ないWEBサイトを見て内職する学生もいました。みんな真面目なのかと思いきや…びっくりですね。講義に使われたPPTは後で学内ページで入手出来るし、課題には直接関わらないからなのかもしれません。出席をとるなんてことももちろんなかったです。

 

授業を聞いていて思ったことは、やはり英語の力を高めておくことは必要だということです。わたしはIELTSのリスニングは最高で8.5、コンスタントに7.5や8.0を取っていましたが、それでも1時間ずっと細部に至るまで聞き取ることは難しかったです。先生は講義ということで分かりやすく話してくれますが、学生の発言は全体的に早口+訛りがあり聞き取りにくかったです。signpostingに注目して、大事な部分を聞き逃さないようにする技術が大事だと思います。とはいえ東工大では国際開発の授業は大体英語で履修していたので、馴染みのある分野ですしノートテイキングで困るようなことはありませんでした。もし日本の大学で日本語の授業しか受けたことがないという人は、English for Academic Purpose(EAP)のコースを語学学校などで探して準備しておく、または大学のプレセッショナルコースに参加するとよいと思います。

 

課題は端的にいうと文献のクリティカルレビューでした。この「クリティカル」というのがまた学生泣かせです。批判的な視点が求められるので、ただ文献の内容をまとめるだけでは評価は低いままです。これはやはり日本の大学ではあまり注目されることはないでしょう。そこでみなさんにおすすめしたいのがこの本、Student EssentialsシリーズのCritical Thinkingです。

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学期が始まる頃、たまたま本屋で見つけて買ったこの本。平易な英語で書かれており、「critical thinkingって一体何? どうすればcriticalなの?」という人には分かりやすいと思います。学生にとってよくあるミス、これをしたらダメ、という例も載っているのが参考になります。本を読んで気付いたのですが、critical thinkingに必要ないくつかのスキルはIELTSで要求されているスキルと全く同じなのです! たとえば今回の課題、文献のクリティカルレビューでいうと、文献を頭から全て読むのではなく、まず全体をスキミング。それから必要そうなところ(わたしはmethodorogyとdiscussionに注目しました)を読む。これはIELTSのリーディングで必要なスキルですよね。そして実際にレビューを書くときは、一人称を排して適切な語彙(Academic Engilish)を用いて書く。事実を並べるのではなく、類似点や相違点を比較する。これはライティングでポイントになる部分ですね。日本の大学でcritical thinkingが必要な場面はほとんどなかったので、日本人がIELTSのライティングに苦戦するのは当然なのかもしれません。これから留学して授業を受ける、課題でエッセイを書くという方、またIELTSでライティングが苦手という方、この本でなくてもよいのでぜひcritical thinkingができるよう入門書を見てはいかがでしょうか。

 

さて課題の話に戻りますが、レビューを書くこと自体は論文執筆で慣れているためあまり苦労はしませんでした。英文の校正をかけてから提出しました。英文校正サービスについては、また別記事でお話しできればと思います。

フォーマル・ディナー

1月27日にフォーマル・ディナーに参加したので、皆さんにもお伝えしたいと思います。

 

Oxbridgeの特徴といえば、やはりCollege制度ではないでしょうか。合格をいただいて実際に手続きをするまでぼんやりとしか理解していませんでしたが、今ではすっかり馴染んでいます。

オックスフォードとケンブリッジの学生は大学(university)でそれぞれの学部(faculty)か専攻(department)に所属し授業を受けるのですが、それとは別にカレッジ(college)にも所属します。ここでいうカレッジとは従来の「単科大学」という意味ではなく、学生生活の場でありコミュニティでもあります。ハリー・ポッターを知っている人は、ホグワーツという魔法学校で勉強しつつも内部が4つの寮に分かれている、という世界観と照らし合わせれば分かりやすいかもしれません。

 

さて各カレッジにはダイニングホール(食堂)があり、学生は通常所属するカレッジのホールで食事をするよう推奨されています。普通の食事は予約なしでOKなのですが、予約が必要な食事があります。それが「フォーマル・ディナー」と総称されるものです。フォーマルと付いているように、参加者にはフォーマルな装いが求められます。また食事はコース料理となっており、給仕の人によそってもらいます。特別にワインも注がれます。

 

今回は指導教官の招待ということで、チャーチルカレッジのフォーマル・ディナーに参加しました。ドレスコードは男性はスーツにネクタイ必須(蝶ネクタイを付けている人も見かけました)、女性はそれと同等レベル。わたしはこちらへ来るときにドレス(ワンピース)を持って来なかったので、スーツを着て行きました。ブラウスは少し華やかなデザインのもの、指にはいくつか指輪をつけて行きましたが、おかげで地味になり過ぎずセーフでした。もっとも、学部生とおぼしき若い女性達はミニのパーティー用ワンピースを着ていましたが; チャーチルカレッジのフェロー(先生)達はガウンを着ていました。

 

ホールの準備が整うまでは別室で待機します。今回はゲストだったので、フェロー向けのラウンジルームを特別に使わせていただくことができました。ここではプレドリンクをいただけるのですが、緊張で何も頼めず…; 学生達はオープンスペースのカフェで待っているようでした。

 

ホールの準備が出来たら、フェローを先頭に移動します。フェロー+ゲストと学生ではテーブルが分かれていました。椅子の前で立ったまま全員がホールに入るのを待ちます。そして銅鑼(規約にはベルと書かれていますが)が鳴らされるとこれがスタートの合図となり、一斉に座ってディナーが始まります。席順は指定されている訳ではないため、隣や向かいにどんな人が来るかはその時にならなければ分かりません。フェローか、ゲストか、はたまた卒業生なのか。そしてその人の専門分野は何なのか。こうした偶然の出逢いやそこでの会話、これはケンブリッジならではだなと思いました。全く違う分野の人のacademic interestを聞くのは勿論ですが、自分の研究を分かりやすく伝えるというのも、難しいが重要なことなのだと思います。しかしこの日他の人に自分の関心を話したことで、自分がケンブリッジに来た意義というものを再確認できました。

 

さて、食後のデザートと席が近い人達との交流を楽しんでいるといきなり銅鑼が鳴らされます。本当に唐突でした。残念ながらここでディナーは終わりです。ぞろぞろと列をなしてホールを後にします。そのあとはまたラウンジルームへ行きました。さすがに雰囲気には慣れたのでコーヒーを淹れ、ある先生のショート・トークを聞きました。トピックは「絵本の中の月の誤描写」で、絵本の挿絵において擬人化されていない(顔が描かれていない)月は、大きすぎる・満ち欠けではなく月食が起きている・時間や方角がおかしい、などの誤った描かれ方をしているというものでした。子供にとってはデフォルメされ分かりやすいのでしょうが、科学的ではありませんから「正しい月の姿」を学ぶ必要がありますよね。とても面白いレクチャーでした。その後指導教官と生活で困ってることがないか、今後の研究方針などを話し合って解散となりました。

 

この日体験した全てのことが、これからの3年間で大きな意味を持つだろうということを感じました。自分の部屋に戻ってからも「特別な夜だった」という高揚感で、しばらく眠ることができませんでした笑 機会があればまた参加してみたいものです。

留学説明会に参加する

年末年始は渡航の準備に追われ、1月第2週にあわただしく出発となりました。

工学専攻では先週木曜日から授業が始まり、わたしも授業を履修し始めたところです。渡航準備や授業の様子はまたおって記事にしたいと思います。

しばらく間があいてしまいましたが、新年初めての更新は留学説明会についてです。

 

わたしは大学院に入ってすぐに学内の留学説明会に参加しましたが、振り返ってみるとこれは良い判断だったと思います。皆さんも最初に「留学したい」と思ったときは、かなり漠然としたイメージしか思い浮かばなかったのではないでしょうか。

どういう留学の種別があり、自分はどのような留学をしたいのか。どんな機関が留学をサポートしているのか。

こういったことはこの学内の説明会に参加してよく分かりました。また、学外の留学説明会の情報も入手できました。これで次のステップ「学外の説明会に参加」につながるわけですね。何より大事なのが、要件を満たすためにはIELTSのスコアと大学の成績(GPA)が必要だと分かったことです。なので、今現在学生の方は、学内の留学説明会やパンフレットを探してみるとよいでしょう。

 

さて、学内の留学説明会に参加したことでわたしは「留学するならしっかり勉強・研究して学位取得を目指したい」と思うようになりました。この時点ではまだ修論のテーマも定まってはおらず(分野は決まっていますが)、やりたいことについては「所属は工学系、でも国際開発の視点は持っていたい」ぐらいしか考えていませんでした。

そして参加したのが「欧州留学フェア」です。欧州各国からいくつかの教育機関の担当者がブースを開き、個別に面談することができます。それまでドイツ・イタリア・スイス・フランスに興味がありましたが、どうも期待していたのとは違っていそうだと思いました。

理系に強く、開発学もあるというとやはりイギリスがぴったりだということに気付いたのです。これまでの説明会でBritish Counsilの存在は知っていたので、さっそくサイトへアクセス。留学セミナーに参加し、出願の流れを理解しました。また、このころイギリスでサマープログラム(夏期講習)を受けることを検討し始めました。

 

 

SOASのサマープログラムについては機会があれば別記事にまとめることにしますが、イギリス留学を考えている人にとって重大なイベントが「イギリス留学フェア」です。年に2回ほどあり、かなりの数の大学が参加します。予約がなくても大丈夫ですが、事前に参加予定の大学がリストアップされますので、気になる大学があれば面談の予約をとると担当官と1対1で話せます。出願プロセスや大学生活などで分からないことがあれば、この面談中に質問するとよいです。わたしは修士1年の秋と春休みにこのフェアに参加し、どの大学に行きたいか、どの専攻にするか、を少しずつしぼっていきました。

 

準備にどれくらい時間を要するかは人によって違います。ただ動きだしは早いほうがいいでしょう。志望理由書や研究計画書は一度に書ききれるものではありませんし、語学要件を満たすのにテストを受けなければなりません(それで一度失敗したのがわたくし・しょぼんです)。情報はなるべく早く多く集めておき、大学の入学担当官と話せる機会があるなら積極的に参加するのがカギだと思います。