英国産しょぼんのしょんぼり日記

英国生まれのブログ主・しょぼんが英国留学で博士号取得を目指すブログ

フォーマル・ディナー

1月27日にフォーマル・ディナーに参加したので、皆さんにもお伝えしたいと思います。

 

Oxbridgeの特徴といえば、やはりCollege制度ではないでしょうか。合格をいただいて実際に手続きをするまでぼんやりとしか理解していませんでしたが、今ではすっかり馴染んでいます。

オックスフォードとケンブリッジの学生は大学(university)でそれぞれの学部(faculty)か専攻(department)に所属し授業を受けるのですが、それとは別にカレッジ(college)にも所属します。ここでいうカレッジとは従来の「単科大学」という意味ではなく、学生生活の場でありコミュニティでもあります。ハリー・ポッターを知っている人は、ホグワーツという魔法学校で勉強しつつも内部が4つの寮に分かれている、という世界観と照らし合わせれば分かりやすいかもしれません。

 

さて各カレッジにはダイニングホール(食堂)があり、学生は通常所属するカレッジのホールで食事をするよう推奨されています。普通の食事は予約なしでOKなのですが、予約が必要な食事があります。それが「フォーマル・ディナー」と総称されるものです。フォーマルと付いているように、参加者にはフォーマルな装いが求められます。また食事はコース料理となっており、給仕の人によそってもらいます。特別にワインも注がれます。

 

今回は指導教官の招待ということで、チャーチルカレッジのフォーマル・ディナーに参加しました。ドレスコードは男性はスーツにネクタイ必須(蝶ネクタイを付けている人も見かけました)、女性はそれと同等レベル。わたしはこちらへ来るときにドレス(ワンピース)を持って来なかったので、スーツを着て行きました。ブラウスは少し華やかなデザインのもの、指にはいくつか指輪をつけて行きましたが、おかげで地味になり過ぎずセーフでした。もっとも、学部生とおぼしき若い女性達はミニのパーティー用ワンピースを着ていましたが; チャーチルカレッジのフェロー(先生)達はガウンを着ていました。

 

ホールの準備が整うまでは別室で待機します。今回はゲストだったので、フェロー向けのラウンジルームを特別に使わせていただくことができました。ここではプレドリンクをいただけるのですが、緊張で何も頼めず…; 学生達はオープンスペースのカフェで待っているようでした。

 

ホールの準備が出来たら、フェローを先頭に移動します。フェロー+ゲストと学生ではテーブルが分かれていました。椅子の前で立ったまま全員がホールに入るのを待ちます。そして銅鑼(規約にはベルと書かれていますが)が鳴らされるとこれがスタートの合図となり、一斉に座ってディナーが始まります。席順は指定されている訳ではないため、隣や向かいにどんな人が来るかはその時にならなければ分かりません。フェローか、ゲストか、はたまた卒業生なのか。そしてその人の専門分野は何なのか。こうした偶然の出逢いやそこでの会話、これはケンブリッジならではだなと思いました。全く違う分野の人のacademic interestを聞くのは勿論ですが、自分の研究を分かりやすく伝えるというのも、難しいが重要なことなのだと思います。しかしこの日他の人に自分の関心を話したことで、自分がケンブリッジに来た意義というものを再確認できました。

 

さて、食後のデザートと席が近い人達との交流を楽しんでいるといきなり銅鑼が鳴らされます。本当に唐突でした。残念ながらここでディナーは終わりです。ぞろぞろと列をなしてホールを後にします。そのあとはまたラウンジルームへ行きました。さすがに雰囲気には慣れたのでコーヒーを淹れ、ある先生のショート・トークを聞きました。トピックは「絵本の中の月の誤描写」で、絵本の挿絵において擬人化されていない(顔が描かれていない)月は、大きすぎる・満ち欠けではなく月食が起きている・時間や方角がおかしい、などの誤った描かれ方をしているというものでした。子供にとってはデフォルメされ分かりやすいのでしょうが、科学的ではありませんから「正しい月の姿」を学ぶ必要がありますよね。とても面白いレクチャーでした。その後指導教官と生活で困ってることがないか、今後の研究方針などを話し合って解散となりました。

 

この日体験した全てのことが、これからの3年間で大きな意味を持つだろうということを感じました。自分の部屋に戻ってからも「特別な夜だった」という高揚感で、しばらく眠ることができませんでした笑 機会があればまた参加してみたいものです。